トレポネーマ・パリダム(梅毒トレポネーマ)という細菌による感染症です。
主に性的接触を通じて感染します。治療しなければ進行し、体の複数の器官に深刻な影響を与える可能性があります。適切な治療(通常はペニシリンなどの抗生物質)により、完治が可能です。
感染経路
- 性的接触:膣性交、肛門性交、オーラルセックスを通じた感染
- 皮膚から皮膚への接触:患部の潰瘍や皮疹に直接接触
- 血液感染:輸血や針の共有(注射薬使用者)
- 母子感染:妊娠中または出産時に母親から胎児への感染
進行段階と症状
梅毒は段階的に進行し、各段階で異なる症状が現れます。
第1期(初期硬結)
**感染後3~90日(平均3週間)**に症状が出現
- 硬結:感染部位(性器、口、肛門など)に痛みのない硬いしこり
- 潰瘍:硬結が潰瘍に発展することもある
- リンパ節腫脹:患部の近くのリンパ節が腫れる
- 治癒:治療がなくても3~6週間で自然治癒することがあるが、ウイルスは体内に残存
第2期(二次梅毒)
第1期から数週間~数ヶ月後に発症
- 発疹:体全体に広がる皮疹(手のひらや足の裏を含む)
- 全身症状:発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、喉の痛み
- リンパ節腫脹:複数の部位
- 粘膜疹:口内や性器に潰瘍
- 脱毛:パッチ状の脱毛
- 性病疣(せいびょうゆう):肛門周辺や性器にいぼ状の突起
- 眼症状:結膜炎やぶどう膜炎
- 治癒:治療がなくても1年以内に自然消退することが多いが、菌は体内に残存
潜伏期(無症状梅毒)
第2期の症状が消退後から数年間
- 外見上の症状がないが、血液検査で菌の存在が確認される
- 感染力:弱まるが、性的接触で他者に感染する可能性がある
- 期間:数年から数十年続く可能性
第3期(晩期梅毒)
感染後数年~数十年経過して発症(現在は日本では稀)
- ゴム腫:皮膚や内臓に肉芽腫性病変
- 骨・関節病変:骨の破壊、関節炎
- 臓器障害:心臓、肝臓、神経への影響
第4期(神経梅毒)
進行梅毒の神経系への影響(治療なしに長年放置した場合)
- 脳脊髄炎:髄膜炎症状
- 神経変性:脊髄変性、認知症
- 眼障害:視力喪失
- 聴覚障害:難聴
早期治療の重要性
第1期または第2期での治療が最も効果的です。進行すると、神経梅毒など回復不可能な臓器障害が生じます。
妊娠・出産への影響
- 先天梅毒:妊娠中の感染が、流産、死産、先天梅毒児の出生に至る可能性
- 妊婦検査:妊娠時のスクリーニング検査が重要
予防
- バリア避妊具の使用:コンドームやデンタルダムで感染リスク低減
- 定期的な性感染症検査:複数のパートナーがいる場合
- パートナーへの告知と治療:感染者の接触者も検査と治療が必要
- 献血前の検査:感染者は献血不可
梅毒は感染初期で適切に治療すれば完全に治る感染症です。
