腎盂(じんう)と腎実質に起こる急性または慢性の細菌感染症です。
腎盂腎炎は上部尿路感染症の最も一般的な形態で、尿路感染症(UTI)の中で最も重症です。女性に多く発症しますが、男性が罹患した場合はより重症化する傾向があります。迅速な診断と適切な抗生物質治療により、ほとんどのケースで治癒しますが、繰り返す感染や適切な治療の遅延は、腎機能低下や敗血症につながる可能性があります。
症状
急性腎盂腎炎
典型的な三徴候:
- 発熱:38℃以上の高熱(寒気を伴うことがある)—— 最初の症状
- 腰痛:患側の腎盂部の激しい痛み(側腹部~腰部)。通常は一側だが、両側感染も可能
- 膀胱刺激症状:
- 頻尿
- 排尿痛(排尿時の焼けるような痛み)
- 尿意切迫
その他の症状
- 悪寒:発熱に伴う戦慄
- 倦怠感:全身の疲労感
- 嘔吐:特に高熱時
- 悪心
- 腹痛:腹部全体の痛み
重症化の徴候
- 敗血症:高熱、低血圧、意識障害
- 腎膿瘍:激しい腎盂部痛、治療に反応しない高熱
- 腎梗塞:突然の激痛
慢性腎盂腎炎
- 症状が軽微または無症状
- 反復性感染
- 進行性の腎機能低下(症状なく発見されることも多い)
予防と再発防止
女性
- 十分な水分摂取:尿流増加により膀胱内の菌濃度を低減
- 排尿習慣:性交後の排尿
- 会陰部衛生:前から後ろへのぬぐき方
- 抗生物質予防療法:反復性膀胱炎/腎盂腎炎の場合
妊娠中
- 無症候性菌尿の治療:必須。未治療で15~20%が腎盂腎炎へ進行
- 定期的な尿検査:各妊娠検診時
男性
- 前立腺肥大症の治療:尿流改善
- 排尿後の尿残留を減らす
- カテーテル関連:不要な長期留置の回避
全般
- 尿路異常の治療:結石除去、逆流防止術など
- 糖尿病の血糖管理:感染リスク低減
- 定期的な尿検査:特に高リスク患者
